第61回 スカイマン

オレ流超人批評
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空中殺法を操るマスクマン。千の顔を持つ、明るく正統派な超人でありながらも、時折顔を出す意外なキャラクターとは…?
出身 メキシコ
超人強度 45万パワー
必殺技 フライング魚雷
主な戦績 テリーマン●

モチーフは単純明快

 彼は1回目の超人オリンピックで初登場しました。そのモチーフは誰がどう見てもミルマスカラスであることは明白です。

 当時ミルマスカラスはプロレスのマット界で絶大なる人気を誇っていました。

  • 華麗な空中殺法
  • 確かなレスリング技術
  • 派手な入場コスチューム
  • 試合ごとに変わるマスク
  • オーバーマスクを観客に投げ入れるサービス

といったようなキャラクターが、彼を人気者たらしめていた要素でしょう。

 特に試合によってマスクが変わるというギミックとオーバーマスクの投げ入れは、ちびっ子に大ウケしましたね。

 これらはバリエーション戦略およびプレゼント戦略をプロレス界に取り入れた、という点で画期的であり、彼はそのパイオニアであったと思います。

 このようにミルマスカラスは大ブレイクを果たしていたので、超人募集に参加しようと思っていたちびっ子が

マスカラスみたいな超人を送ったれ

と脊髄反射なみの思考でスカイマンを創作し、応募したという展開は想像に難くありません(笑)。

 それだけに彼はほぼほぼミルマスカラスです(苦笑)。

 額に“1000”の数字が入っているデザインが彼の大きな特徴なのですが、それもミルマスカラスの異名である“千の顔を持つ男”から拝借されていると思われます。

 さらにスカイマンという名の“スカイ”は、ミルマスカラスの入場テーマである『スカイハイ』からインスパイアされたのではないでしょうか。

 とまあ、それくらい

スカイマン = ミルマスカラス

という図式は不動であり、彼がある意味清々しいくらいの借り物キャラクターであることがわかります(笑)。

正統派の実力者

 それではそんな彼の能力を考察してみましょう。

 作品上での彼の試合はテリーマン戦の一試合だけです。ですので彼の格闘能力はその試合からでしか判断ができません。

 ただ後に“正義超人実力ナンバーワン”とキン肉マンから評価されるテリーマンと、互角の勝負を繰り広げていたところを見るに、その実力は低くはないと思われます。

 コブラツイストでテリーを苦しめ、それを外されると返す刀でフライング・クロスチョップ。関節技と空中殺法を流れるように使いこなすあたり、ミルマスカラスと遜色のない実力を見せています。

 そしてなんといっても彼のキャラを強烈に押し出している技が、『フライング魚雷』というフェイバリットでしょう。

 ロープを駆けあがって空高く飛び上がり、頭から垂直に相手のどてっ腹めがけて落下するという、失敗をした場合は自分が大ダメージを食らう可能性のある、なかなかに危険な技です。

 イメージ的には新日本プロレスの本間朋晃の『こけし』をもっとスピーディーに、そしてより垂直にした感じでしょうか(笑)。

 このフェイバリットがあるがゆえに、彼の超人としてのランクは大きく上昇していると思います。シンプルながらも人間では実現不可能な必殺技。

 それはリアリティを醸しつつも、やはりフィクションであるという絶妙な必殺技のライン。そんなバランスがいい、美しいフェイバリットですよね。

 そう考えると、彼は正義超人の本道をゆく正統派の実力者、と言えるでしょうか。

扱いの軽さが顕著に

 そんな正統派超人だった彼ですが、作品上ではセカンドチャンスはついに訪れませんでした。

 ただフェイドアウトしたわけではなく、ちょい役でちょいちょい登場しています(笑)。しかしその扱いは軽んじられる傾向にあったと思われます。いくつかあげてみましょう。

人違い事件

 2回目の超人オリンピックにおいてキン肉マンと再会したスカイマンとカナディアンマンが

あいかわらずだな、キン肉マン

と声をかけるも、スグルからは

久しぶりだのう、キンターマンにカレクック

と切れ味の鋭すぎる人違いをされ、唖然とさせられています(苦笑)。

フェイバリット無断使用事件

 彼は自身を象徴する大事なフェイバリットである『フライング魚雷』を、2度も他人に無断使用されています。

 一度目は『アメリカ遠征編』におけるタッグ戦で、テリーマンにしれっとそれを使われています。

 さらには『キン肉星王位争奪編』においても、ミート版フライング魚雷である『ミートキッズ魚雷』としてパクられました(苦笑)。

 キャラクターの命ともいえるフェイバリットをこうも簡単に奪われるあたり、その扱いが軽いというのは否めません。

自己主張あしらわれ事件

 前述したように、自身の『フライング魚雷』をテリーマンにパクられた際、彼は興奮して

おお! みろ、オレの必殺技だ!!

と無邪気に自己主張していました。

 しかしその興奮はのちにタッグパートナーとなるカレクックに

わかった、わかった

と、ものすごくドライに受け流されています(苦笑)。扱い、やっぱり軽いですよね(笑)。

時にブレるキャラクター

 彼は基本的に正統派で陽キャな超人ですが、ところどころその路線にブレが生じることがあります。そんな彼のキャラクターについてみていきましょう。

お茶目なスカイマン

 彼の基本スタイルである“陽キャ”がよく表れているのが、テリーマン戦での入場時です。

 派手な入場コスチュームを身に纏い、ミルマスカラスさながらにオーバーマスクを観客席に投げ入れようとしますが、彼は直前で

こっちにしよっと

と方向転換をし、観客に見事なフェイントをかけています(笑)。

 このあたり、彼のお茶目な性格が色濃く表れていると思いますね。“性格が悪い”というわけではなくて、ちょっとしたいたずら好き。そんな彼の明るさがよく表れていて、ニッコリしてしまいます(笑)。

 このおかげで棚ぼた的にオーバーマスクを手に入れることができたアデランスの中野さんは、見事スカイマンファンクラブである『エル・アホ~メ軍団』に入会できましたからね。

 それを取り損ねた警備員のオッサンは、泣いて悔しがっていましたけどね(笑)。

 また、前述の

おお! みろ、オレの必殺技だ!!

という自己主張も、子どものような承認欲求から生じたお茶目言動であったと思われます。「わかった、わかった」と流されましたけど(苦笑)。

荒々しいスカイマン

 そんな感じで基本、明朗・快活な性格の彼ですが、突然荒々しい言葉を発したときがあります。

 それは2回目の超人オリンピックが終了した時点での、各超人のふりかえりコメントにて表れました。

キン骨マンやロビン・マスクがテリーマンをつぶしたようなことをいっているが、ヤツをつぶしたのはこのオレだ!

と、なかなかに激しい口調で超人オリンピックを振り返っています。

 このあたり、通常のお茶目で明るいスカイマンとは打って変わったようであり、好戦的な格闘家としての一面が顔を覗かせています。

 ただ自身の功績を認められたい、という“承認欲求志向”はここでも健在のようです(苦笑)。

残虐超人とコンビを組むスカイマン

 最後に、彼はカレクックとコンビを組んで“銀河系超人タッグ選手権”を戴冠しています。

 この情報を目にした時の違和感といったらなかったですね。

…?? スカイマンとカレクックがまったく結びつかん…!

といった疑問符が脳内を駆け巡った方は多かったのではないでしょうか(笑)?

 というのも、正統派である彼と残虐超人であるカレクックでは、ステイタスに差がありすぎるんですよね。陽キャ超人と陰キャ超人のタッグ結成ですから。

 ですので、この時も

なんか…設定ブレてんな~

と、子ども心に感じた記憶がありますね。

 このあたりの違和感の謎については、『ディープオブマッスル』というノベライズで後日披露されたようですが、読んだことがないのでよくわかりません。

 逆に言うとノベライズにできるくらい違和感のある設定だった、ということです。そしてそれはゆで先生が後々に

…さすがにテキトーすぎた設定だったかな…?

と反省したからこその、みそぎ的なノベライズだったのではないかと、個人的には感じています(苦笑)。

 ただカレクックの

わかった、わかった

という伝説的なあしらいは、すでにスカイマンと密な関係性ができていたからこその成せる業、だったのかもしれませんね(笑)。

千の顔を持つ超人?

 以上のように、彼はところどころでそのキャラクターがブレてしまう特徴があります(笑)。

 しかしながら彼の異名が“千の顔を持つ超人”であることを考えると、それらのブレも“千の顔のうちの一つ”と理解すれば辻褄が合うのかもしれません(苦笑)。

 そう考えると、彼はふり幅の大きい色々な一面をもっと見せた方がよかったのかもしれません。それこそ極端なくらいの多重キャラを演出するような。

 そうすれば彼の“千の顔を持つ超人”という異名が際立ち、のちに登場するペンタゴンやキン肉マンマリポーサといった、空中殺法超人との競合に対抗できたのかもしれませんね。

※今回は高野さん、taka-pさん、よしのや太郎さん、ポテギさん、中村さん、上野さん、ヒカルさん、三浦さん、第5攻撃隊さんほか、たくさんの方からリクエストをいただきました。ありがとうございました。

【リクエストはこちらから】

    コメント

    1. 空色の帽子 より:

      いつも楽しく読ませてもらっています。
      スカイマンで、この解説量はさすがです。すぐに試合が終わる初期の試合の中では、テリーマン戦はなかなか見応えありましたね。
       ところで、記憶が定かではないのですが、Ⅱ世の究極タッグトーナメントの「カーペットボミングス」(モアイドン&オルテガ)の2人の紹介ページに、彼らが3人タッグを戦った時のもう1人がスカイマンと書いてあったような…⁈
       なかなかに突っ込みどころと、想像が膨らむエピソードかなと思いますので、可能でしたらこのあたりの考察を追記してください。

      • アキラ アキラ より:

        空色の帽子さん、こんにちは。

        そうなんですよね、彼、実はカーペットボミングスともトリオを組んでいるんですよね(笑)。

        これも気づいてはいたのですが、今回はカレクックとのエピソードだけで精一杯でした(苦笑)。

        彼らの関係性でおかしな想像が浮かんだら、書いてみますね。

    2. つかさ より:

      スカイマン
      個人的に好きなキャラで 何気に強いのでは? とも思っています。

      うろ覚えですが カレクックと組んだのは 残虐超人の闘い方や技術を会得するのが目的だった様な?

      空色の帽子さんのコメントにも有りますが 二世での設定で モアイドン&オルテガと組み 6人タッグマッチのタイトルも戴冠してる様な記載は有りました。

      今後もマイナー超人を取り上げてくれるのを楽しみにしています。

      • アキラ アキラ より:

        つかささん、こんにちは。

        なるほど、あえての別カテゴリー研究、探求だったんですね。となると彼、かなりストイックで技術交流に熱心ですね。

        またあらたなる“顔”が見つかった気がします(笑)。

        今後もマイナー超人を含めて少しずつアップしたいと思いますので、よろしければぜひご覧ください。

        宜しくお願い致します。

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