アーケード版『ストライダー飛竜』の思い出。

オレ流ゲームレビュー
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ゲーセンで唯一のワンコインクリア

 カプコンが1989年にリリースした『ストライダー飛竜』は名作の誉れ高く、根強いファンを持つタイトルです。

 実はこれ、私にとっては本当に思い入れが深いアーケードゲームなんですよ。

 というのも、私がゲーセンで唯一ワンコインクリアできたタイトルが、この『ストライダー飛竜』なんです。

 もうそれ以外はね、志半ばで

……無念なり…

となったタイトルばかりで。ゲーセンの利益率アップに大きく貢献していた、カモネギ高校生でした(苦笑)。

 そんな有野課長ばりのいいお客さんが一念発起して、このタイトルクリアに向けて本気で取り組んだわけです。

 そう、思えば学校の定期テスト対策よりも、こちらを優先させていたなあ(笑)。

ここがスゴいよ、ストライダー飛竜

 ではなぜそんなモチベーションがこの『ストライダー飛竜』には生じたのか。当時の私が惚れ込んだ理由を記していきたいと思います。

多彩にアクションしまくり

 このタイトルを初めてゲーセンで見たときに、キャラクターの多彩で派手なアクションに魅了されてしまいました。

 一番印象が強かったのが、側転をするように大きく浮遊するジャンプフォームですね。さらにそこから鉤爪を駆使して上のフロアにクルクルとよじ登っていく動きがとてもトリッキーかつアクティブで、

なんか派手でカッコいいぞ!

…操作してみたい!!

という気持ちにさせたんですよね~。

 その他、刀(サイファー)攻撃、スライディング、よじ登り、天井移動など多彩なアクションがありました。

▲多彩で派手なアクションの数々

 それらとステージ特性が組み合わさることで、飛竜は画面上を縦横無尽に動き回ることになり、プレイヤーだけではなく、後ろで見ているギャラリーをも楽しませる映像演出がありました。

 そしてそれらスピーディーかつアクロバティックなアクションは、飛竜が持つキャラクターである“忍者を祖とする裏エージェント”というイメージを十分に表現しています。

 それはゲームの舞台設定とゲームシステムが高度にリンクしていたことを裏づけており、プレイヤーのインカムを誘う大きな要因となっていたと思われます。

 そんな飛竜のアクションは、今でいうところの“パルクール”に近いのかな、なんて思うことがありますね。

 あの動きがプレイ中ずっと続いているような感覚。そりゃカッコいいですよね(笑)。

設定が中二病を刺激しまくり

 そして飛竜のキャラ設定が中二病を刺激しまくった、というのもすごさの一つでしょうか。

  • 忍者の末裔
  • 暗躍集団ストライダーズ所属
  • 戦闘、諜報のプロフェッショナル
  • 最年少A級ストライダー

 どうですか。少年ジャンプをこよなく愛する高校生にとっては、ヨダレもののキャラ設定じゃないですか(笑)。

▲中二病をもれなく刺激する飛竜の設定(笑)

 それはまさに『料理の鉄人』で鹿賀丈史が

“忍者”をベースに“戦闘”と“諜報”という下味をつけ、“暗躍”のスパイスを適量。

そして“プロフェッショナル”な技術で一気に調理。

腕をふるうのは“最年少”で“A級”調理師となった天才シェーーフ!!

なんて紹介しちゃうんじゃないかと思うくらいの魅力あふれる設定であり、鼻腔をくすぐるその料理には、とてもじゃないけど抗えませんでしたね(笑)。つまりは

いただきます!

と両手を合わせて、硬貨を挿入するのは不可避だった、ということです。

 さらにはその舞台設定が、独裁者(グランドマスター)によって統治されている、近未来サイバネティクス世界であったのも、少年の心を大きくくすぐりました。

 そしてそんな強大な権力機構の中にただ一人で潜入し、破壊工作および暗殺を遂行するという影のミッションが、たまらなくカッコよかったですね。

キャラが個性ありまくり

 前述のように、プレイヤーキャラである飛竜については垂涎ものの魅力と個性がありましたが、このタイトルに登場するその他キャラも、彼に負けないくらいの魅力あふれる個性を放っていました。

個性ありまくり味方キャラ

 味方においてはオプションキャラに

  • キノコ型ロボット
  • サーベルタイガー型ロボット
  • タカ型ロボット

が登場し、どれもがメカニカルで個性豊かです。

▲かわいいお供たち

 そして彼らは桃太郎に付き従う犬・猿・雉の如く、一生懸命に飛竜をフォローしてくれるんですよ。ただ知らぬ間にいなくなっていることも多く、

…意外と忠誠心は薄いんだな

というほんのりとしたツッコミをプレイヤーに感じさせる、愛らしいキャラでした(笑)。

 そしてサーベルタイガーとタカについては、そのデザインとモチーフから

バビル二世かな?

と、ロデムとロプロスが脳裏によぎった方も多かったかもしれませんね(笑)。

個性ありまくり敵キャラ

 敵キャラはもっと個性のオンパレードです。

  • 『ロッキー4』のドラゴ感プンプンな強化人間“ストロバヤ”
  • 20人を超える人が合体したムカデ“ウロボロス”
  • 『スターウォーズ』感プンプンのロボ殺し屋“ソロ”
  • 『キングコング』感プンプンの巨大メカゴリラ“メカポン”
  • 『香港カンフー映画』感プンプンの中華な三姉妹拳士“東風三姉妹”
  • 『ネバーランド』感プンプンのヒゲ船長“ひげ丸ジュニア”
  • メカニカルな恐竜“ラゴウ・メカニック”

 このように箇条書きにしているだけでも、入力する言葉が個性的すぎて、タイピングしながらついつい笑ってしまいます(笑)。

 さらには、どいつもこいつも素敵すぎるほどの“元ネタオマージュ臭”を濃厚にお持ちです(苦笑)。ただそのオマージュのおかげで、このタイトルが表現したい“世界観”は、より瞬時にプレイヤーにお届けできたとも言えるでしょう。

▲オマージュ臭ただよう敵キャラ陣

 つまり説明を受けることなく“闘うべき組織”のポテンシャルが想像でき、プレイヤーは

なるほど、アレのあんな感じか

といった感じで、このタイトルの舞台背景やディティールを容易に理解できるんですよね。

 そして彼らは元ネタキャラの力を借りつつも、『ストライダー飛竜』という作品内において、まばゆいほどの魅力を振りまいていたのです。

演出がハリウッドしまくり

 このタイトルは、ステージ開始前にシネスコのような形でショートドラマが挿入されます。これがまた映画のような雰囲気を存分に醸し出しています。

 しかも音声合成を駆使し、キャラクターに英語、中国語、日本語と複数の言語をしゃべらせ、そこに字幕を挿入することで、その映画的効果をさらに増しているんですよ。

 そしてこの多言語演出は、プレイヤーに対して国際色豊かな印象を与え、A級ストライダーがまさに世界をまたにかけて暗躍している様を、強烈にイメージさせてくれました。

▲多国籍感あふれる演出

 また、飛竜が駆け巡るステージは

  1. カザフシティ(カザフスタン)のモスク周辺
  2. シベリアの雪山と無人発電所
  3. 空中戦艦バルログと反重力装置
  4. アマゾンとアマゾネス
  5. 第三の月の都

とバラエティに富んでおり、その一つ一つのステージが、そのままハリウッド映画の舞台背景になりそうです。

 1と2では東西冷戦をテーマにしたスパイ物、4では未開の地を冒険する考古学者物、3と5では近未来SF大戦物と、

まるでハリウッド映画の宝石箱や!

といった感じで、プレイヤーをハリウッドの世界に誘ってくれるのです。

 この“これでもか”と言わんばかりのごった煮ステージ設定は、このタイトルがエンターテインメントを貪欲に追求したタイトルであったことを、如実にあらわしていると思います。

飛竜のセリフがイカしまくり

 これはもう有名なセリフというか、名言なんですけどね。

 前述した挿入ドラマにおいて、飛竜が敵の空中戦艦に対して一言物申すシーンがあるんですけど、そのときのセリフがイカしているんですよ。

三姉妹
三姉妹

空中戦艦バルログあるかぎり

世界は我々のものだ

とのたまう敵に対し

飛竜
飛竜

きさまらにそんな玩具は必要ない

と斬り捨てて、単身破壊工作に赴くんです。カッコいいでしょう(笑)? もうね、

『ストライダー飛竜』といえばこのシーン!

と目が輝いちゃう方は、私だけではないはずです(笑)。

▲男なら一度は口にしたいセリフ(笑)

ワンコインクリアへの道

 このように、さまざまな点で私を魅了しまくった『ストライダー飛竜』。

 ただ、皆さんに大事なことを言い忘れていました。この時点で私…

まだプレイしていません(笑)

 そう、上記の感想はすべて

うまい人のプレイをのぞき見した感想

なのです(笑)。

 いや、冗談抜きの話で、ギャラリーとしてそのプレイを見ているだけでも本当に面白かったんですよ。

 そしてゲーセン歴も3年目を数えるほどになっていたので、アクションゲームにおける自分の実力というものは、ある程度認識していたわけです。

 そんな私がこのタイトルに対して直感したのは

こいつは…オレの手には負えないな

というものでした。身の程を知る、という感じですかね(苦笑)。

 ですので、飛竜を縦横無尽に操るゲーマーのプレイを“じ~~~っ”と見ていただけだったんですね。

 ただそれをずっと行っていると、

そこでジャンプ

二回打ったら一歩下がる

下のルートから入って

二つ目の足場から上へ

といったように、このゲームの攻略法を丸暗記してしまったんです。

 その精度は自分で言うのもなんですが、かなり正確だった記憶があります。そう、私はギャラリーとして他人のプレイを凝視し続けていたおかげで、脳内イメトレの修練を相当につんでいたんですよ(笑)。

▲こうしてイメトレします(笑)

 そしてふと好奇心がわいたわけです。

これ…ワンチャンやれそうじゃね?

みたいな、チャレンジ精神ですよ。

 で、ドキドキしながら硬貨を投入し、スティックを操ってみると…

やばい!

オレってばけっこうデキる!!

という、好感触な結果を得たんですね。

 もちろんいきなり最終ステージに到達、みたいなことではなかったんですけど、初プレイで普通に3面くらいまで行けたんじゃないかな?

 ただアクション下手にとって、初プレイでこの結果というのは、クリアをしたのと同等の価値があるわけです…ちょっと言い過ぎか(笑)。

 でもこれによって

こいつをやっていける自信がつきました

というマインドになったのは確かでした。正直な話、ゲーセンのゲームでこんなに手応えを感じたタイトルはありませんでしたからね。

 となると、あとはイメトレで学習した動きと実際のレバー操作とボタン操作での動きのズレを補正するだけでした。

 いやホント、そのアジャストだけで、どんどんプレイ時間が伸びていったんですよ。そりゃそうですよね、正解のルートと動きは完璧に頭の中に叩き込まれているんですから。

 この“やればやるほど結果が伴う”という現象は、ゲーム下手にとっては痛快でしたね~。今までは

100円投入してプレイ時間3分

なんてこともザラだったので、

100円投入してプレイ時間20分

というプレイ時間は、費用対娯楽効果(笑)において抜群のパフォーマンスを発揮したといえるわけです。めったにないですよ、こんなこと。

 そして…! 私はとうとうゲーセンのアーケードゲームにて、夢のワンコインクリアを達成したのです。あの時の達成感は本当に忘れられないなあ。その代わり勉強の達成感が犠牲になったけど(苦笑)。

 さらにプレイをしていた私の後ろには、多くのギャラリーもいました。ちょっと前までは自分もその中の一人だったのに、

オレがこの中心にいるなんて…!!

と、感慨もひとしおでした。

 しかし私はそれに対して得意気になるわけでもなく、クリア後のネームエントリーを終えた後は

さてと、もう行かないとな

と、いかにも“クリアして当たり前”という表情を演出しながら、クールにその場を立ち去ったわけです…すみません、ただの自己満足です(苦笑)。

 そしてその後は、訪れたゲーセンにこのタイトルがあった場合は

軽く肩慣らしで『ストライダー飛竜』でもクリアしとくか

といったような、ゲーセンにふらりと現れてはサッとゲームをクリアして去っていくという、“スゴ腕のゲーム風来坊”のような気分を堪能できました。

▲ゲーム風来坊の脳内イメージ

 こんな気分を味わえたのは、人生で唯一、このタイトルだけでしたけどね。ただ現実には誰も私のことを“スゴ腕のゲーム風来坊”とは見なしていなかったことをお断りしておきます(苦笑)。

なぜ下手くそがワンコインクリアできたのか

 でもなんでこんなアクション下手の私が、このタイトルだけクリアできたのでしょうか。

 もちろん前述したように、他人のプレイを見まくった、というイメトレも、その大きな要因ではあるのですが、今から考えると以下の2点も大きな要因だったのではないかと思います。

操作性が抜群によかった

 私はイメトレで得た動きをトレースすることでゲームのクリアに至ったのですが、もし操作性がダメダメだったならば、イメージの動きが再現できずに、そこに至っていなかったと思うんですよね。

 そう考えると、イメージを再現する操作性がこのタイトルは抜群によかったのだと思います。

 あれだけ多くのアクションをこなす飛竜に魅了されてこのゲームに手を出したので、自分の思ったようにそれが叶うのはとても痛快で、そのレスポンスのよさには大きく助けられたのだと思います。

攻略パターンが限定的で覚えやすかった

 『ストライダー飛竜』は派手でエンターテインメント性あふれる作品なのですが、その攻略方法は意外と限定的だったように思えます。

 もちろん細かい部分では、プレイヤーによって攻略方法の差があるかもしれませんが、核となる部分はけっこう一本道だったような気がしますね。

 つまり決まった流れ、決まった動きをしっかりと覚えさえすればある程度進める、という側面が大きいゲームだったように感じます。

▲攻略ルートは意外と画一的

 ですので他のプレイヤーのプレイを暗記していた私にとっては、攻略法に余計な遊びが少ない分、惑わされることなくその一本道に集中でき、結果ゲームのクリアにつながったのではないのかな、なんて思っています。

カプコンの飛躍とストライダー飛竜

 そんな思い出深い『ストライダー飛竜』ですが、このタイトルが業界を揺るがすヒットを飛ばし、評価を得たのかというと、そうでもなかったですね。

 いわゆる“ゲーセンに数多あまたある中の一ゲーム”というポジションだったと記憶しています。

 ただこの80年代後半に良質なタイトルを堅実に発表し続けたことがカプコンの地力となり、数年後訪れる『ストリートファイターⅡ』での驚異的なセンセーションにつながったのではないのかな、という気がしています。

 また、作中に登場する“空中戦艦バルログ”、“東風三姉妹”については、

『ストⅡ』のバルログや春麗の元ネタかなあ?

なんてことを想像し、ゲーム業界の歴史や裏話に思いをはせたのも、なかなか楽しい思い出です。

▲のちのこれにつながった?

 そして、このタイトルがメガドライブをはじめ様々なハードに移植され、21世紀になってもリメイクや続編が制作される姿を見ていると、

この作品の影響でクリエイターになった人も多いのかな?

なんていう、大ヒットはせずともその類まれなるセンスは確実に未来のクリエイターの胸に届いていたような気がして、ちょっと嬉しくなりますね(笑)。

おわりに

 以上、アーケード版『ストライダー飛竜』についての思い出でした。

 おそらく高校三年間のゲーセン通いキャリアの中でも、一番真剣に取り組んだゲームがこのタイトルだったのではないでしょうか。

 それくらいこのタイトルの舞台設定、キャラクター、アクション、演出、グラフィック、操作性は魅力的かつクールであり、今なお色あせていないと感じています。

 ホント、おすすめのタイトルなので、未プレイの方はぜひプレイをしてみてください。

 でも…その真剣さの1%でも受験勉強に傾けていれば、浪人生活というルートはひょっとしたら回避できていたかもしれませんね…(苦笑)。ではまた。

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