F1のドラマ性について。

オレ流F1
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 F1GP第4戦、イギリスグランプリが終了しました。このレースではゴール直前にびっくりするような展開があり、とてもレースを面白いものにしてくれました。今回はそんなF1のドラマ性について書こうかと思います。

 前回も書きましたが、今年のF1も王者・メルセデスの一人勝ち状態が続いています。マシンが他のチームと比べてあまりにも速すぎ、まるで夏の甲子園大会にニューヨークヤンキースが参加しているかのような感じとなっています。結果は推して知るべし、ですね(苦笑)。

 それは裏を返すと、F1というスポーツをつまらないものにしてしまいます。「どうせメルセデスがぶっちぎりで勝つんでしょ」的な見方になり、競技を観戦する意欲が失せる原因にもなりかねないのです。

 だからといってメルセデスが悪いわけではなく、彼らはマシンとチームの向上を、どのチームよりもストイックに推し進め、血のにじむようなワークでそれを達成しているだけなので、そこにケチをつけるのはフェアじゃないでしょう。それでもケチをつけたくなりますけどね、嫉妬で(苦笑)。

 このように、F1という競技はマシンというテクノロジーの優劣がその勝敗を決める要素が大きい競技だけに、ここでスーパーカーメルセデス軽自動車他のマシンのような差がついてしまうと、どんなにドライバーの腕がよくても、それに勝つのは難しいわけです。

 今回のレースも、予選からその傾向が顕著にあらわれていて、フロントローをメルセデスの2台が独占です。そして1秒遅れで我らがレッドブル・ホンダのフェルスタッペンが続くといった展開でした。

 F1において、1周するのに1秒差がつくというのは致命的です。ですので、決勝レースもメルセデス2台がはるか前方で優勝をチームメイト同士で争い、その他のチームは3位を争いなさいね、なんて構図が出来上がってしまったわけです。

▲いつもの2台独走状態です。

 実際にレースが始まると、予想通りの展開となりました。あ~あ、これは退屈なレースになるのかな、なんて思って観ていたら、レース終盤でとんでもないドラマが待ち受けていたのです。

 今回のレースはサーキットを52周まわってゴールとなります。その49周までは、上記のような退屈な展開でした。しかし50周目に、2位を走っていたボッタスの左タイヤが突然パンク。途端にスローペースとなりました。

▲ハデに破裂しています。

 その時3位を走行していたフェルスタッペンは、悠々とボッタスを抜き去って2位に浮上。完璧超人のメルセデスに勝ち目はないと思っていただけに、2位に浮上できたというのはものすごい幸運です。よっしゃ、よっしゃ、なんて思って手を叩いてしまいました。

 そしてファイナルラップの52周目。そこまで4位を走行していたマクラーレンのサインツが、やはり左タイヤのパンクでスローダウン。おいおい、やけに終盤で左タイヤがパンクするでないの、なんて思っていたら、なんと1位を走っていたメルセデスのハミルトンの左タイヤもパンク。

▲ファイナルラップでかわいそうなサインツ
▲…と思ったら、トップのハミルトンまでパンク!

 おいおいおい、なんだよこれ、パンク祭りじゃん、ヤマザキ夏のパンク祭りじゃん、最後の最後に盛り上げてくれるなあ! てな感じで、注目は2位のフェルスタッペンがゴールラインまでに、逆転でハミルトンを差し切れるかに集まりました。

 結局ハミルトンは手負いのマシンでヨロヨロとなんとかトップチェッカーを切り、フェルスタッペンの奇跡の逆転劇は実現しなかったのですが、もしパンク位置があと500メートル前であれば、それを実現させていた可能性が高いです。

▲フロアを削りながら、意地でゴールを目指すハミルトン
▲フェルスタッペンは惜しくも5秒届かず…

 まあこのように、マシンの性能差が大きく勝敗をわける競技ではあるものの、そのマシンにアクシデントがあれば、どんなに強力なマシンでも勝利を失う可能性があるということです。

 逆にいうと、そこがF1の競技性をエキサイティングなものにしており、ドラマを演出している要因でもあるのです。今回はやたらに左タイヤのパンクが頻発したのですが、これは偶然ではなく、その日の天候、路面温度、タイヤの消耗度、内圧、コース特性など、様々な物理的要因が共通の現象を生み出したと考えられます。

▲51周目でタイヤ交換しなければ優勝してた?

 言うなれば、物理法則を追求する競技は、物理法則の優位性でトップに立てますが、同じく物理法則の劣位性によってその地位を脅かされるということなのです。それがあるからF1は面白いのだなあと、再確認させてもらえるようなレースでしたね。

 だってね、マラソンでトップ2人がスタジアムに入り、ゴール目前で同時に靴脱げてコケる、なんてないでしょ? でもそれがあるのがF1なんだなあ。

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